日本では春一番が吹き
三寒四温を辿り
春を待つばかりの2月。
ニューヨークの2月はまだ春遠く
凍り付くような日が続く。
2月の寒さはどうしても
私にあの日のことを思い出させる。
思い出しながら、ふと
思い出になってしまうことのもどかしさと
思い出になってしまう時間の流れに
言い様のないせつなさに包み込まれてしまう。
こころの中で
まだ思い出にさせまいとする力が働く。
その一方で
もう思い出になってしまわなければならない“今”がある。
“今”は次の“今”へと続き、
永遠にそのリレーをくり返す。
生きているというのは、
そのリレーをくり返し続けている間のことで、
リレーをやめた時、止めざる終えなくなった時、
時間が止まって、一生が終わりを告げる。
だけど、たとえ
私がいなくなっても、
あなたがいなくなっても、
誰か大切な人がいなくなっても、
私達の“今”は止まったとしても、
やっぱり
この世の“今”のリレーは終わらない。
宇宙の“今”がリレーをやめない限り。
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